RDIブログ
RDIの鈴木です。

先日、センター試験が5年後を目処に廃止され、高校在学中に複数回受けられる全国統一試験「到達度テスト」(仮称)に置き換える検討を始めたとの報道がありました。
センター試験廃止へ 文科省、複数回の新テスト検討 :日本経済新聞
大いに賛同したい流れです。むしろ、もっと改革を進めて良いと思うくらいです。
センター試験廃止に至るには、「複数回受けられるテスト」でどのようにして応募者の能力を公平に測定するか、ということが担保される必要があります。今日はこの辺りについて書いてみたいと思います。
テストとは、能力を精緻に測定できるものではない
先のリンクの報道の中で、このような言及があります。
90年にスタートしたセンター試験は共通1次と同様に年1回の実施。受験生を1点刻みでふるい落とす手段として使われ、基礎学力を測るという当初の目的が薄れているとの批判があった。
この当初の目的というものがそもそもイケてないと感じるのですが、テストは精緻に能力を測定して序列化することには向かず、能力ランクごとにグループ化するくらいが正しい使い方です。
例えば、体重70キロのAさんと72キロのBさんがいた場合、我々は明確に「Bさんの方が2キロ重い」と理解することができます。ですので、体重は「解像度が高い」測定ができるといえます。
一方で、英語のテストが70点のAさんと72点のBさんがいた場合、Bさんの方が2点分だけ能力が高いと明確に理解することが果たして正しいのでしょうか。ケアレスミスだってあるし、得意不得意な問題もあります。もう一度テストを実施すればAさんが72点、Bさんが70点の可能性だってあります。そういう意味で、テストは解像度が高い測定手法ではありません。テストは、5〜20段階くらいの「ランク」に分けるくらいの測定が限界です。この考え方を「潜在ランク理論」と呼びます。
まずは、テストとはそういうものだと理解すべきです。
全国一斉テストではない=同じ問題ではない をどう解消するか
この潜在ランク理論が理解できたとしても、いずれにせよ同じテスト問題を実施しなくては不公平じゃないか、という反論があると思います。
しかし、潜在ランク理論こそ、この「同じ問題でないと不公平」を解決するための前提となります。
テストの設問には、難易度というものが存在します。
例えば、次の設問はそれぞれ難易度が異なることがなんとなく想像できるでしょう。
英語の発音を問う問題と文法を問う問題も、どちらが難しいのかは設問の質や当人の得手不得手によりますが、難易度は異なり、それを一概に判断することもまた適切ではなさそうです。
これらの設問が全て配点1点でテストが構成されていたら、それこそ同じ問題を全員が問いたとしても、結果が正当に能力を測定しているとは言えないと思いませんか。
つまり、同じ問題を解かせて素点を与えることが重要なのではなく、同じくらいの難易度の問題を解かせてその正答率を調べることが、能力を測定するためには重要なのだと分かります。
そのためには、事前に問題に難易度が設定されていなくてはなりません。どのように設定するのでしょうか。まさか文部科学省の人や大学入試センターの人が協議の上で設定する、などということは実施しません。
事前に多数の人に問題を解いてもらい(プレテストの実施)、その正答率で難易度を設定するのです。「多数の人」とは、もちろん無作為抽出が好ましいですが、実質それは不可能なので様々な対象者を選定することで担保します。
ですので、先の3問の引き算も、下にいくほど難しいと主観的には判断できますが、主観は難易度設定に利用されず、あくまで定量的に調査されます。
こうして、各設問には測定の結果として「難易度」が設定され、各難易度の設問をどの程度解けたかで「能力ランク」を測定するのです。問題に与えられているのは素点ではなく難易度なので、粒度が荒く、明確な序列は難しいですが、潜在ランク理論を用いればそこはクリアできます。
この「どの難易度に安定的に答えられるか」を調べることで能力を測定する理論をIRT(Item Response Theory:項目反応理論)と呼びます。
IRTを用いればさらに様々な活用も可能に
このように、IRTを用いれば異なる問題でも一様に受験者を比較することができるので一斉テストをする必要がなくなります。
先のリンクの報道記事でもこのような言及があります。
難易度の異なる3種類程度のテストを用意する案が浮上しており、受験者は卒業後の進路などに応じてテストを選ぶ。
これは明確にIRTを用いることを示唆しています。しかしIRTを十分に活用しておらず、IRTを存分に活用すればさらにテストを発展させることが可能です。
視力検査を想像してみてください。
2回程度特定の視力について答えられた被験者は、それより視力が低い「C」については問われません。逆に、2回程度特定の視力について答えられなかった被験者は、しれより視力が高い「C」については問われません。
これと同じことがテストにも言えて、一定の難易度の問題に安定して回答できる応募者には、それより簡単な問題を出す必要はないのです。
これを実現するためには、CBT(Computer Based Testing)を活用する必要があります。問題に難易度を設定しておき、複数回同じレベルの難易度の問題を解ければその受験者にはそれ以上の難易度の問題のみ解かせるようなアルゴリズムにするのです。
IRT-CBTを導入すれば、受験者によっては試験時間を非常に短縮することができます。また、受験した直後に結果を返すという運用も可能です。
ペーパーで実施が当たり前の現代ではまだ現実的ではないかもしれませんが、タブレット端末などが当たり前に使われるようになれば十分に実現できるはずです。
理論はできており、後は実施に踏み出すだけ
センター試験は公平性という観点のもとに一斉テストが長いこと実施されてきましたが、高校生に与えるプレッシャーは相当なもので、果たして教育上好ましいものなのかという問題もありました。
これらを解決するIRTの効果はすでに実証されており、一部の学部の大学受験などでは運用が始まっています。センター試験に適用するかどうかは文部科学省がGOを出すかどうかだけなのです。今回GOが出たことは評価できますが、5年後の実現というなんとも長いスパンでの考え方で、スピード感がないなぁと感じてしまいます。
テスト理論については採用担当者も知っておいたほうがいい
今回こうやってセンター試験のことについて書いたのは、この考え方を企業の採用担当者の方も知っておいた方がいいと感じたからです。スクリーニングとしてテストを実施している企業は多く、テスト会社の出されたレポートに従って合否を出していると思います。
そのテスト、IRTは使われていますか?
素点が能力ランクを測定できていると評価できますか?
設問が、測定したい能力領域を対象としていますか?
自社で活躍してくれる未来ある学生を迎え入れる工程として、テスト会社に言われるままではなく自分なりにきちんと理解して進めることが、細かいようで実は大事なことだと考えています。
最近読んでいる本
『不格好経営―チームDeNAの挑戦』
南場智子
会社の存在はもちろん知っていましたし、南場さんご自身のことも存じていましたし、球団や陸上部の保有など興味深いことに手を出しているとは思っていました。ただ、これまではどこか別世界の話のような印象を持っていました。それが、本書を読んでDeNAのことが急に身近に感じられるようになり、ファンにもなりました。それくらい泥臭くて、失敗の連続で、不恰好な姿が鮮明に描かれています。それでいて読後感も良く、ついつい応援してしまうような、そんな気持ちにさせられます。
最近の運動
非常にまずく、ここ1ヶ月くらいまともに運動していない日々が続いています・・。こんなにボール蹴ってないのいつ以来でしょ。夏にだらしない身体なのは個人的に許せないので、そろそろ始動します!
RDIの鈴木です。

もうすぐ6月ですね。早いです。梅雨は嫌いです。自転車に乗れなくなってしまいます。
さて、2014年度採用もいったん落ち着いた企業が多く、RDIも内定者の育成のお仕事をする時期になってまいりました。RDIで特に引き合いが多いのは、学生生活を通じたセルフマネジメントを通じて成長を支援するプログラムです。
今年も学生さんの前でファシリテーションをしているのですが、いつも学生さんに受けがよく、プログラム終了後「あの話がよかった」と言われたりする話をまとめてみました。主に成長に関する話題です。学生さん、成長意欲高いですからね。
ディテールにこだわることの重要性のお話
ディテールを大事にすることは言うまでもなく重要なのですが、そのあたりは口で言ってもなかなか理解しにくかったり「言われなくても分かっている」と言う割にできていない人がいたりと、支援するのが難しい領域でもあります。
そこで僕はサッカーの元日本代表監督の岡田武史さんの話をします。岡田さんはとにかくディテールにこだわっている人で、監督の仕事の大部分が「試合でいかにディテールに手を抜かないように仕向けるか」と捉えているほどです。
岡田さん曰く、勝敗を決定づけるのは戦術論や4-2-3-1か3-4-3かなどのシステム論ではないと考えています。それらにはもちろん考えを巡らすのだけど、影響力としては2割程度。
では、残りの8割は何なのか。
それは、以下のようなことができるかできないかだと言うのです。
- あと30センチ足が伸びていればブロックできた
- あと1メートルポジショニングを修正していれば裏を取られなかった
- あと0.5秒早く反応できていれば(その準備をしていれば)ボールに届いた
こういったディテールを発揮するかしないか、これが勝負の分かれ目になると。
確かにその通りな気がします。ジャーナリストや評論家(僕もですが・・)は戦術面に理由を求めようとしますし、そうしないと記事にならないのですが、実際にはちょっとした気の緩みや油断、ミスが勝敗を分けています。
ではそのディテールにこだわるにはどうしたらいいか。
それは、練習からディテールにこだわるしかないのです。普段はのらりくらりしているのに試合だけディテールを発揮できる人などいなくて、普段からやっているから試合でもできる、のです。だから、そういう気持ちを持って普段からやっていこうぜ、というそういう集団に岡田さんはしたかった(そして実際にできていた)というのです。
これって、ビジネスでも全く同じですよね。
ビジネスの大きな絵姿を描き出すのはもちろん大事ですが、特に新入社員のときは与えられた仕事でいかにディテールにこだわって仕事をするか。これに尽きると思います。で、仕事でディテールを発揮するためには、学生生活においても何らかの領域でディテールを発揮することを経験しておかなくてはならない。そういうことをできない人がいきなり仕事でディテールを発揮できることはありません。
なぜ振り返りをするのかというお話
PDCAのCにあたる部分ですが、振り返りが大事と大人から言われてもなぜ大事かあまり説明を受けていないので腑に落ちていない学生さんが多い印象を受けます。
僕の説明はこうです。
実際に力を発揮しているのはPDCAのDにあたる実行フェーズ。だけど、実行している最中に「自分は今XXの力を発揮している」ということは考えない。そこで大事なのがCにあたる振り返り。ここで自分の行動を振り返ることで自身の中で体系的な理解がされる。成長とは、体系化されることでもたらされる。体系化された経験は再現性が高まり、次にさらに大きなパフォーマンスとして発露される。
わりと、受けがいいですよ。笑
強制力のお話
PDCAをまわすために月に1回程度の報告を義務付けています。そうすると面倒だと感じる人も多数います。しかしこれまでの経験で、そこで学生さんに迎合して報告の義務付けをやめると成長が起こりません。
型を身につけるときはある程度強制力を働かせて実施させることで成長が促されます。守破離の概念ですね。月に1回、時期も決めてあげることでペースメーカー的にそれを利用し、しばらくしたら型が身についていたという状態を目指します。
プロ野球でいえば、内定期間はシーズン開始前のキャンプと同じです。勝手にやらせるよりは、チームのやり方を覚えてもらう期間。入社後の教育期間はオープン戦。そこで力を試し、配属後がペナントレースです。
ポジティブ・アプローチの観点からは脱するので時流と反しますが、ポジティブ・アプローチが通用するのは主体性が最高に発揮できるような環境設定があってこそです。環境設定に手出しができない学生生活を成長の場としていますので、強制力が大事なのです。
これも、「なぜ報告させるのか」という説明に用いるとわりとすんなり受け入れてくれています。
小さくても良いから成果を出すことが大事というお話
自己効力感の話ですね。小さくてもいいから成果を出すことが自己効力感の醸成につながり、それが気持ちに火をつけてさらなる行動につながります。
また、自己効力感は健全な社会人生活を送ることにも大きな役割を果たします。ストレス調整要因として自己効力感が挙げられているように、メンタルヘルスの観点からもとても大事です。僕は新入社員が早く辞めてしまうのは成果を出せるような環境に新入社員を置いていないことも要因の一つだと思っています。
そんな自己効力感、学生生活でもぜひ醸成しておこうよ、という話ですね。学生生活で培った自己効力感はもしかしたら社会人生活で鼻っ面をへし折られるかもしれませんが、過去に自己効力感を高めたことがあるという経験は必ず役に立つはずです。
RDIの鈴木です。

RDIも設立から5年経ち、原点を忘れないようにするために最近良く振り返りをしています。RDIの仕事とは一体どのようなバリューがあるのか。RDIの仕事内容をエレベータートーク(エレベーターにいる時間程度の短い時間で説明すること)せよと言われたらなんとこたえるのか。
シンプルに表現することは簡単なようで難しいですよね。
RDIが大切している「設計」という言葉
採用における求める人材像を設計し、評価要素や評価基準を作成する。採用広報で応募者の興味を喚起し、エントリーしてもらい、決めてもらう。それらの流れに関わるリクルーターや面接官。内々定後の育成。採用に科学性をもたらすこと。なぜその評価要素で良いのか、なぜその面接評価表でよいのか、なぜ面接を実施するのか、根拠を大切にすること。
RDIが関わっている採用の領域をざっと書いてみました。これでは「何をしているか」が伝わりにくい気もしますね。かといって仕事内容を「採用」と一括りにしてしまうとバリューがボヤけてしまう。
RDIは設計という言葉を好んで使いますが、設計が指すイメージも多種多様でなかなか伝わらなかったり、「それは仕事になるんですか?」という感想を持たれたり。「採用の設計!?そんなことは皆やっていますよ」云々。いや、やっていないから大事だと言い続けているわけなのですが、やっている/やっていないの区別も難しい。さて、どこかに良質のメタファーはないものか。
そんなときに僕らが忘れずに立ち返るのが、IBM時代に学んだプロジェクトマネジメントやシステムの設計思想です。
システム業界では設計がしっかりしていないと即座に影響が出る
僕自身がシステム業界に約6年間いた経験から分かることは、設計という分野においてはシステム業界は最も進んでいる業界だということです。参考にすべきことがたくさんあります。
なぜシステム業界は他業界に比べて設計という概念で先行しているのか。それは、設計が優れていないと機能面に即座に影響が出ることが分かってしまうことが要因だと僕は考えています。
ちょっと古い言葉かもしれませんが、設計は「論理」で、機能が実装された結果は「物理」と表現することができます。論理は、物理が「なぜその実装でよいのか」の説明責任を果たす役割も備えています。
システム業界における物理のミスはすなわちシステムが動かないということですから、誰の目にも機能不全が明らかです。そして、物理のミス=論理のミスであるという構造が明確なので、誰もが物理のミスを犯さないように論理を徹底的に構築します。こうして、論理=設計がますます優れたものになっていきます。
一方で、僕らの携わる採用の業界はどうでしょうか。論理と物理は密接に結びついているのでしょうか。
採用業界では物理の失敗が即座には表面化しない
採用における物理とは、具体的な施策のことを指します。説明会、パンフレット、採用HP、面接などです。それらは論理的な一貫した設計のもとに要件を満たすような機能を備えて具現化されるべきですが、実際にはそのような論理面の強化はなされていません。
なぜでしょうか。
論理がなくても、パンフレットそのものは存在しますし、説明会も実施するだけならできてしまうからです。論理がないとシステムが止まってしまうシステム業界とはここが決定的に違います。
本来、説明会とは自社に求める人材を迎えるためのプロセスとしての一機能であるはずです。しかし、その機能を果たしたかどうかが説明会開催時点では表面化しません。
たくさん学生が来てくれた。
学生が満足そうな表情をしていた。
質問がたくさん出た。
アンケートを取得したら満足度が高かった。
こういった「一見成功したかに見える要素」によって説明会の評価がなされてしまいます。
しかし実際には、その説明会が「自社に求める人材を迎え入れることに寄与したのかどうか」が説明会の評価であるはずです。
もしかしたら、説明会という採用プロセスの一機能の設計を怠ったがために、優秀な人材の獲得に失敗しているかもしれません。しかし、そのような影響は即座に表面化しません。じわじわと、数年や十数年かけて侵食するように企業にダメージを与えていきます。
こういった事態に陥らないためには、採用にも設計という概念を持ち込み、論理と物理が密接につながった「デザイン」をすべきです。
デザイナーという仕事が理解されにくいわけ
世のデザイナーと呼ばれる仕事をする人は、ほとんどが論理と物理をつなぐ仕事をしていると思います。そしてデザインの価値がなかなか理解されない業界とは、論理と物理が切り離されても一見物理だけで通用しているように見えている業界です。WEBデザイン(サイトそのものは素人でも作れる)もデザインの仕事がなかなか理解されない業界ですよね。しかし実際には論理に基づいたデザインを施したWEBサイトは機能美として美しく、目的達成のために一貫したデザインがなされています。
一方で、システム業界、建築業界などはデザインの仕事が一定の価値を持っている業界です。なぜなら、論理と物理が切り離されては成り立たないからです。システムは論理がないと止まってしまいますし、建築はそもそも設計できる人には資格が必要です。
では採用の業界は?
もうお分かりですよね。前者に属しています。論理と物理が切り離されていても「一見大丈夫そうに見える」業界なのです。しかしその影響は前述したとおり。じわじわと効いてきます。「最近いい人材が入ってこないな・・」と感じたら時既に遅しかもしれません。そうならないためにも、論理と物理の関係、デザインの重要性を理解し、自社の採用に導入していくべきなのです。
リクルーティング・デザインという仕事
冒頭の問いに戻ります。
RDIの仕事内容をシンプルに表現せよと言われたらなんとこたえるのか。
「リクルーティング・デザインを導入する仕事です」と我々は答えるでしょう。
採用業界には圧倒的にこの概念が欠けています。物理が肥大化しすぎて論理を駆逐しています。この派手さが採用業界を歪んだ構造にしています。
求める人材を獲得する − このシンプルでいて難解な課題に対し、小手先のテクニックではなく科学性をもった論理を物理に反映し、一貫したデザインで解決すること。なぜその施策(物理)で良いのか、に対して根拠に基づいた説明ができるように設計(論理)をすること。
この考え方こそが、RDIのコンセプトなのです。
最後にちょっとした宣伝 HRカンファレンスにて講演します
今回のブログで熱く(?)語ったRDIの仕事「リクルーティング・デザイン」について、日本最大級のHRイベントHRカンファレンスにて講演します。5月21日(火) 10:00から、場所は大手町サンケイプラザで入場料は無料です(事前申込みが必要)。
講演タイトル『新卒採用を本格化する企業に必須!「リクルーティング・デザイン」7つの導入事例』
詳細・お申込みは以下のバナーからどうぞ

お時間のある方は是非足を運んでみてください!
RDIの鈴木です。
早いものでもう3月ですね。いよいよ来月からは2014年度採用の「選考」が本格的に始まります。我々がお手伝いをさせていただいる面接官トレーニングもそろそろ佳境です。
さて、今回は少し挑戦的なことを書きます。タイトルにもありますが、
面接官トレーニングにロールプレイって必要ですか?
もう少し別の言い方をしてみましょう。
面接官トレーニングでロールプレイを実施することによって、応募者を適切にアセスメントするスキルが身についていると思いますか?
ロールプレイは、多くのお客様もご所望されますし、面接官トレーニングを販売しているベンダーもほぼ全ての企業がサービス内容に加えています。モニター学生を呼び、面接さながらの雰囲気で実施をしているところもあると聞きます。確かに、「ああ面接とはこういうものなのだな」という感触はつかめるでしょう。しかし、それが果たして「評価スキル」の向上につながっているのでしょうか。
ラーメンに使われている具材は何か
ここで別の角度からこの話を考えてみたいと思います。一部の方はご存知ですが、僕はラーメンが大好きです。年間200杯くらい食べます。そのラーメンをメタファーに扱ってみます。
僕がラーメンを本格的に好きになりたてのころ、ラーメンに関する書籍を読んだことがありました。まだ今のように雑誌でラーメン特集が組まれることなどほとんどないころで、光文社の『ラーメンを味わいつくす』という新書です。
書籍内で著者の佐々木さんが「300杯くらいラーメンを食べれば何のダシが使われているのか分かるようになってくる」と書いており、僕は自分がその境地にたどり着くのを楽しみにしていました。鰹節や煮干しなどの分かりやすい食材は判断できますが、無数に存在するダシの材料を言い当てられればそれはかなりのレベルのラーメニストです。
ところが、300杯を超えてもなかなかそういった光が見えてこない。僕は記録に残してあるだけでも既に1000杯くらいはラーメンを食べていますが、それでもすぐに当てられる感じではない。もしかしたら味オンチなだけかもしれないですけど・・。
よく考えてみたら、具材を当てられないのは当たり前なのです。なぜなら僕は1杯ごとに「実際にそのラーメンに何のダシが使われていたのか」という正解を知らないからです。正解を知らないのに杯数だけを重ねても、一生正解にたどり着けるはずがありません。1杯ごとに正解を知れば、その経験がデータベースとして蓄積していって、そのうち当てられるようになるのだと思います。
評価スキルは「数」をこなしても向上しない
さて、面接官トレーニングの話に戻りましょう。ロールプレイを実施すると、受講者から出てくる感想は大体このようなものが多いです。
- なかなか難しいな
- 深堀りが甘かったかもしれない
- アイスブレイクをもう少しした方がいい気がした
- 短い時間で評価することの難しさを感じた
確かに、面接の雰囲気や難しさは感じることができているようです。しかしそれらの経験は、応募者を適切に評価するということに何ら寄与しません。適切に評価できるようになるためには、応募者から引き出した情報をもとに「どのように評価することが適切であったのか」という正解らしきものと突き合わせて理解する必要があるからです。その「正解らしきもの」の情報提供がないと、数をこなしてもスキルは向上しません。上述のラーメンの話と同じですね。研究結果でも、面接をこなした数と評価の妥当性の相関は証明されていません。
そして大抵のロールプレイではそのような「正解らしきもの」は教えてくれません。「そこをもっと掘り下げましょう」といったアドバイスはあるかもしれませんが、掘り下げた結果どのような情報が引き出せれば良い評価とするのか、についてはブラックボックスのままです。
基準と照らし合わせる練習をする
ここにパッケージ型面接官トレーニングの限界があると我々は考えています。「正解らしきもの」は企業側にしか存在しないのでその基準をトレーニングに組み込まないと真の意味でのトレーニングにはなり得ないにも関わらず、パッケージ型トレーニングではそういった組み込みができないからです。
主観も大切な要素ではありますが、評価に少しでも客観性を組み込んでいくためには、応募者から引き出した情報と基準を照らし合わせる練習をして評価スキルを向上させることが必要です。
そういった正解込みで、つまり面接官トレーニングをカスタマイズして自社の基準と照らし合わせためのロールプレイであれば、それは非常に有効なトレーニングです。むしろ、そういったトレーニングをどんどんやるべきです。自社のコンテクストに則っているわけですから、深堀りの仕方なども実践的なやり方が学べることと思います。
ロールプレイ一辺倒の風潮を変えていきたい
もちろん、面接の感触をつかむ、といったことが大事なのも理解はしています。まったくもってやる必要がないとは言いません。ただ、業界を見渡しているとロールプレイに過度に期待をしすぎではないか、と感じているのです。
むしろ、これは企業ごとの基準ではなくなりますが、架空の基準を公開してそれに照らしあわせて練習する「面接動画」のようなものの方が評価スキルの向上には役立つのではないか、とさえ感じています。これであれば自席で実施できますし、動画を多数用意すればたくさんの練習をこなすことができ、コストも抑えられるはずです。
人事の世界はやはり科学性という意味では遅れている分野なので、啓蒙活動も含めて僕らももっと採用活動に貢献していくような活動をしていきたいと思います。
最近読んでいる本
ちょっとした宣伝ですスミマセン。かなり昔からサッカー関係の本はたくさん読んでいてその記録も残してありました。それを適切にアウトプットする場がなかったので、このたび個人的なサッカー関係ブログを立ち上げました。
22番の蹴球ファカルティ
よろしければご覧くださいませー。
最近の運動
今シーズンはフルマラソンは回避することになりました。春から夏にかけてはサッカーとフットサルの方が頻度多くなるかしら。
RDIの鈴木です。
毎度お知らせが事後になってしまい恐縮です。2013年3月1日づけでオフィスを移転いたしました。2010年11月より2年4ヶ月に渡りお世話になっていた日比谷のオフィスとはお別れです。
移転後住所
〒101-0063
東京都千代田区神田淡路町2−105 ワテラスアネックス1312
御茶ノ水、秋葉原、淡路町のどこからでも徒歩で5分から8分程度です。僕は自転車通勤なので少し近くなりました。
日比谷のオフィスの荷物を運び出した後に名残惜しく写真を撮ってみました。

え?オフィスの端っこだけ写したの?という感じですが、これが僕らのオフィスの全部だったのです。3坪。窓がなかったら息苦しくて泣いてしまいそうです。
新しいオフィスは15坪くらい。約5倍程度広くなりました・・というと聞こえは良いですが、前が狭すぎただけなんです。ようやく人並みの広さのオフィスになりました。
新しいオフィスはこのような感じ。
今度は室内にミーティングスペースも設けました。まだ椅子が2脚しかないですけど・・。

本棚は本を入れるとモチベーション上がりますね。前のオフィスでは本を平積みで入れていたので背表紙が見えず、もはや何の本があるのか分からない状態でした。こうやって背表紙が並んで見えるとインスピレーションもわきます。

実は新しいオフィスは御茶ノ水の再開発(?)の一環でできる広大な街区の一部でして、ワテラスタワーという41階建ての高層ビルと、ワテラスアネックス(RDIはこっち)という15階建てのビルの2棟及び公開空地や公園が一体となっています。41階建ての方は19階までがオフィスで20階以上が住居。住居はとてもエクスペンシブだと容易に想像できますが、なんと完売御礼だそうです。世の中持ってる方がたくさんいらっしゃるのですねー。
それぞれのビルの3階までは商業施設でレストランやカフェ、コンビニ、スーパーなどが入ります。
ですが、これらの施設は4月12日オープンでして、僕らのビルのオフィスだけ先行して3月1日より入居可能だったのでまだ館内も養生だらけで至る所で工事中でございます。コンビニ早くオープンしてくれないかしら。
不動産会社からもらったパンフレットによれば、4月は桜も咲いて近辺が華やぐそうです。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ!
#近隣においしいラーメン屋がたくさんあるのでラーメンマップもお楽しみに。
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