先日、センター試験が5年後を目処に廃止され、高校在学中に複数回受けられる全国統一試験「到達度テスト」(仮称)に置き換える検討を始めたとの報道がありました。
センター試験廃止へ 文科省、複数回の新テスト検討 :日本経済新聞
大いに賛同したい流れです。むしろ、もっと改革を進めて良いと思うくらいです。
センター試験廃止に至るには、「複数回受けられるテスト」でどのようにして応募者の能力を公平に測定するか、ということが担保される必要があります。今日はこの辺りについて書いてみたいと思います。
先のリンクの報道の中で、このような言及があります。
90年にスタートしたセンター試験は共通1次と同様に年1回の実施。受験生を1点刻みでふるい落とす手段として使われ、基礎学力を測るという当初の目的が薄れているとの批判があった。
この当初の目的というものがそもそもイケてないと感じるのですが、テストは精緻に能力を測定して序列化することには向かず、能力ランクごとにグループ化するくらいが正しい使い方です。
例えば、体重70キロのAさんと72キロのBさんがいた場合、我々は明確に「Bさんの方が2キロ重い」と理解することができます。ですので、体重は「解像度が高い」測定ができるといえます。
一方で、英語のテストが70点のAさんと72点のBさんがいた場合、Bさんの方が2点分だけ能力が高いと明確に理解することが果たして正しいのでしょうか。ケアレスミスだってあるし、得意不得意な問題もあります。もう一度テストを実施すればAさんが72点、Bさんが70点の可能性だってあります。そういう意味で、テストは解像度が高い測定手法ではありません。テストは、5〜20段階くらいの「ランク」に分けるくらいの測定が限界です。この考え方を「潜在ランク理論」と呼びます。
まずは、テストとはそういうものだと理解すべきです。
この潜在ランク理論が理解できたとしても、いずれにせよ同じテスト問題を実施しなくては不公平じゃないか、という反論があると思います。
しかし、潜在ランク理論こそ、この「同じ問題でないと不公平」を解決するための前提となります。
テストの設問には、難易度というものが存在します。
例えば、次の設問はそれぞれ難易度が異なることがなんとなく想像できるでしょう。
英語の発音を問う問題と文法を問う問題も、どちらが難しいのかは設問の質や当人の得手不得手によりますが、難易度は異なり、それを一概に判断することもまた適切ではなさそうです。
これらの設問が全て配点1点でテストが構成されていたら、それこそ同じ問題を全員が問いたとしても、結果が正当に能力を測定しているとは言えないと思いませんか。
つまり、同じ問題を解かせて素点を与えることが重要なのではなく、同じくらいの難易度の問題を解かせてその正答率を調べることが、能力を測定するためには重要なのだと分かります。
そのためには、事前に問題に難易度が設定されていなくてはなりません。どのように設定するのでしょうか。まさか文部科学省の人や大学入試センターの人が協議の上で設定する、などということは実施しません。
事前に多数の人に問題を解いてもらい(プレテストの実施)、その正答率で難易度を設定するのです。「多数の人」とは、もちろん無作為抽出が好ましいですが、実質それは不可能なので様々な対象者を選定することで担保します。
ですので、先の3問の引き算も、下にいくほど難しいと主観的には判断できますが、主観は難易度設定に利用されず、あくまで定量的に調査されます。
こうして、各設問には測定の結果として「難易度」が設定され、各難易度の設問をどの程度解けたかで「能力ランク」を測定するのです。問題に与えられているのは素点ではなく難易度なので、粒度が荒く、明確な序列は難しいですが、潜在ランク理論を用いればそこはクリアできます。
この「どの難易度に安定的に答えられるか」を調べることで能力を測定する理論をIRT(Item Response Theory:項目反応理論)と呼びます。
このように、IRTを用いれば異なる問題でも一様に受験者を比較することができるので一斉テストをする必要がなくなります。
先のリンクの報道記事でもこのような言及があります。
難易度の異なる3種類程度のテストを用意する案が浮上しており、受験者は卒業後の進路などに応じてテストを選ぶ。
これは明確にIRTを用いることを示唆しています。しかしIRTを十分に活用しておらず、IRTを存分に活用すればさらにテストを発展させることが可能です。
視力検査を想像してみてください。
2回程度特定の視力について答えられた被験者は、それより視力が低い「C」については問われません。逆に、2回程度特定の視力について答えられなかった被験者は、しれより視力が高い「C」については問われません。
これと同じことがテストにも言えて、一定の難易度の問題に安定して回答できる応募者には、それより簡単な問題を出す必要はないのです。
これを実現するためには、CBT(Computer Based Testing)を活用する必要があります。問題に難易度を設定しておき、複数回同じレベルの難易度の問題を解ければその受験者にはそれ以上の難易度の問題のみ解かせるようなアルゴリズムにするのです。
IRT-CBTを導入すれば、受験者によっては試験時間を非常に短縮することができます。また、受験した直後に結果を返すという運用も可能です。
ペーパーで実施が当たり前の現代ではまだ現実的ではないかもしれませんが、タブレット端末などが当たり前に使われるようになれば十分に実現できるはずです。
センター試験は公平性という観点のもとに一斉テストが長いこと実施されてきましたが、高校生に与えるプレッシャーは相当なもので、果たして教育上好ましいものなのかという問題もありました。
これらを解決するIRTの効果はすでに実証されており、一部の学部の大学受験などでは運用が始まっています。センター試験に適用するかどうかは文部科学省がGOを出すかどうかだけなのです。今回GOが出たことは評価できますが、5年後の実現というなんとも長いスパンでの考え方で、スピード感がないなぁと感じてしまいます。
今回こうやってセンター試験のことについて書いたのは、この考え方を企業の採用担当者の方も知っておいた方がいいと感じたからです。スクリーニングとしてテストを実施している企業は多く、テスト会社の出されたレポートに従って合否を出していると思います。
そのテスト、IRTは使われていますか?
素点が能力ランクを測定できていると評価できますか?
設問が、測定したい能力領域を対象としていますか?
自社で活躍してくれる未来ある学生を迎え入れる工程として、テスト会社に言われるままではなく自分なりにきちんと理解して進めることが、細かいようで実は大事なことだと考えています。
『不格好経営―チームDeNAの挑戦』 南場智子
会社の存在はもちろん知っていましたし、南場さんご自身のことも存じていましたし、球団や陸上部の保有など興味深いことに手を出しているとは思っていました。ただ、これまではどこか別世界の話のような印象を持っていました。それが、本書を読んでDeNAのことが急に身近に感じられるようになり、ファンにもなりました。それくらい泥臭くて、失敗の連続で、不恰好な姿が鮮明に描かれています。それでいて読後感も良く、ついつい応援してしまうような、そんな気持ちにさせられます。
非常にまずく、ここ1ヶ月くらいまともに運動していない日々が続いています・・。こんなにボール蹴ってないのいつ以来でしょ。夏にだらしない身体なのは個人的に許せないので、そろそろ始動します!
]]>もうすぐ6月ですね。早いです。梅雨は嫌いです。自転車に乗れなくなってしまいます。
さて、2014年度採用もいったん落ち着いた企業が多く、RDIも内定者の育成のお仕事をする時期になってまいりました。RDIで特に引き合いが多いのは、学生生活を通じたセルフマネジメントを通じて成長を支援するプログラムです。
今年も学生さんの前でファシリテーションをしているのですが、いつも学生さんに受けがよく、プログラム終了後「あの話がよかった」と言われたりする話をまとめてみました。主に成長に関する話題です。学生さん、成長意欲高いですからね。
ディテールを大事にすることは言うまでもなく重要なのですが、そのあたりは口で言ってもなかなか理解しにくかったり「言われなくても分かっている」と言う割にできていない人がいたりと、支援するのが難しい領域でもあります。
そこで僕はサッカーの元日本代表監督の岡田武史さんの話をします。岡田さんはとにかくディテールにこだわっている人で、監督の仕事の大部分が「試合でいかにディテールに手を抜かないように仕向けるか」と捉えているほどです。
岡田さん曰く、勝敗を決定づけるのは戦術論や4-2-3-1か3-4-3かなどのシステム論ではないと考えています。それらにはもちろん考えを巡らすのだけど、影響力としては2割程度。
では、残りの8割は何なのか。
それは、以下のようなことができるかできないかだと言うのです。
こういったディテールを発揮するかしないか、これが勝負の分かれ目になると。
確かにその通りな気がします。ジャーナリストや評論家(僕もですが・・)は戦術面に理由を求めようとしますし、そうしないと記事にならないのですが、実際にはちょっとした気の緩みや油断、ミスが勝敗を分けています。
ではそのディテールにこだわるにはどうしたらいいか。
それは、練習からディテールにこだわるしかないのです。普段はのらりくらりしているのに試合だけディテールを発揮できる人などいなくて、普段からやっているから試合でもできる、のです。だから、そういう気持ちを持って普段からやっていこうぜ、というそういう集団に岡田さんはしたかった(そして実際にできていた)というのです。
これって、ビジネスでも全く同じですよね。
ビジネスの大きな絵姿を描き出すのはもちろん大事ですが、特に新入社員のときは与えられた仕事でいかにディテールにこだわって仕事をするか。これに尽きると思います。で、仕事でディテールを発揮するためには、学生生活においても何らかの領域でディテールを発揮することを経験しておかなくてはならない。そういうことをできない人がいきなり仕事でディテールを発揮できることはありません。
PDCAのCにあたる部分ですが、振り返りが大事と大人から言われてもなぜ大事かあまり説明を受けていないので腑に落ちていない学生さんが多い印象を受けます。
僕の説明はこうです。
実際に力を発揮しているのはPDCAのDにあたる実行フェーズ。だけど、実行している最中に「自分は今XXの力を発揮している」ということは考えない。そこで大事なのがCにあたる振り返り。ここで自分の行動を振り返ることで自身の中で体系的な理解がされる。成長とは、体系化されることでもたらされる。体系化された経験は再現性が高まり、次にさらに大きなパフォーマンスとして発露される。
わりと、受けがいいですよ。笑
PDCAをまわすために月に1回程度の報告を義務付けています。そうすると面倒だと感じる人も多数います。しかしこれまでの経験で、そこで学生さんに迎合して報告の義務付けをやめると成長が起こりません。
型を身につけるときはある程度強制力を働かせて実施させることで成長が促されます。守破離の概念ですね。月に1回、時期も決めてあげることでペースメーカー的にそれを利用し、しばらくしたら型が身についていたという状態を目指します。
プロ野球でいえば、内定期間はシーズン開始前のキャンプと同じです。勝手にやらせるよりは、チームのやり方を覚えてもらう期間。入社後の教育期間はオープン戦。そこで力を試し、配属後がペナントレースです。
ポジティブ・アプローチの観点からは脱するので時流と反しますが、ポジティブ・アプローチが通用するのは主体性が最高に発揮できるような環境設定があってこそです。環境設定に手出しができない学生生活を成長の場としていますので、強制力が大事なのです。
これも、「なぜ報告させるのか」という説明に用いるとわりとすんなり受け入れてくれています。
自己効力感の話ですね。小さくてもいいから成果を出すことが自己効力感の醸成につながり、それが気持ちに火をつけてさらなる行動につながります。
また、自己効力感は健全な社会人生活を送ることにも大きな役割を果たします。ストレス調整要因として自己効力感が挙げられているように、メンタルヘルスの観点からもとても大事です。僕は新入社員が早く辞めてしまうのは成果を出せるような環境に新入社員を置いていないことも要因の一つだと思っています。
そんな自己効力感、学生生活でもぜひ醸成しておこうよ、という話ですね。学生生活で培った自己効力感はもしかしたら社会人生活で鼻っ面をへし折られるかもしれませんが、過去に自己効力感を高めたことがあるという経験は必ず役に立つはずです。
]]>RDIも設立から5年経ち、原点を忘れないようにするために最近良く振り返りをしています。RDIの仕事とは一体どのようなバリューがあるのか。RDIの仕事内容をエレベータートーク(エレベーターにいる時間程度の短い時間で説明すること)せよと言われたらなんとこたえるのか。
シンプルに表現することは簡単なようで難しいですよね。
採用における求める人材像を設計し、評価要素や評価基準を作成する。採用広報で応募者の興味を喚起し、エントリーしてもらい、決めてもらう。それらの流れに関わるリクルーターや面接官。内々定後の育成。採用に科学性をもたらすこと。なぜその評価要素で良いのか、なぜその面接評価表でよいのか、なぜ面接を実施するのか、根拠を大切にすること。
RDIが関わっている採用の領域をざっと書いてみました。これでは「何をしているか」が伝わりにくい気もしますね。かといって仕事内容を「採用」と一括りにしてしまうとバリューがボヤけてしまう。
RDIは設計という言葉を好んで使いますが、設計が指すイメージも多種多様でなかなか伝わらなかったり、「それは仕事になるんですか?」という感想を持たれたり。「採用の設計!?そんなことは皆やっていますよ」云々。いや、やっていないから大事だと言い続けているわけなのですが、やっている/やっていないの区別も難しい。さて、どこかに良質のメタファーはないものか。
そんなときに僕らが忘れずに立ち返るのが、IBM時代に学んだプロジェクトマネジメントやシステムの設計思想です。
僕自身がシステム業界に約6年間いた経験から分かることは、設計という分野においてはシステム業界は最も進んでいる業界だということです。参考にすべきことがたくさんあります。
なぜシステム業界は他業界に比べて設計という概念で先行しているのか。それは、設計が優れていないと機能面に即座に影響が出ることが分かってしまうことが要因だと僕は考えています。
ちょっと古い言葉かもしれませんが、設計は「論理」で、機能が実装された結果は「物理」と表現することができます。論理は、物理が「なぜその実装でよいのか」の説明責任を果たす役割も備えています。
システム業界における物理のミスはすなわちシステムが動かないということですから、誰の目にも機能不全が明らかです。そして、物理のミス=論理のミスであるという構造が明確なので、誰もが物理のミスを犯さないように論理を徹底的に構築します。こうして、論理=設計がますます優れたものになっていきます。
一方で、僕らの携わる採用の業界はどうでしょうか。論理と物理は密接に結びついているのでしょうか。
採用における物理とは、具体的な施策のことを指します。説明会、パンフレット、採用HP、面接などです。それらは論理的な一貫した設計のもとに要件を満たすような機能を備えて具現化されるべきですが、実際にはそのような論理面の強化はなされていません。
なぜでしょうか。
論理がなくても、パンフレットそのものは存在しますし、説明会も実施するだけならできてしまうからです。論理がないとシステムが止まってしまうシステム業界とはここが決定的に違います。
本来、説明会とは自社に求める人材を迎えるためのプロセスとしての一機能であるはずです。しかし、その機能を果たしたかどうかが説明会開催時点では表面化しません。
たくさん学生が来てくれた。
学生が満足そうな表情をしていた。
質問がたくさん出た。
アンケートを取得したら満足度が高かった。
こういった「一見成功したかに見える要素」によって説明会の評価がなされてしまいます。
しかし実際には、その説明会が「自社に求める人材を迎え入れることに寄与したのかどうか」が説明会の評価であるはずです。
もしかしたら、説明会という採用プロセスの一機能の設計を怠ったがために、優秀な人材の獲得に失敗しているかもしれません。しかし、そのような影響は即座に表面化しません。じわじわと、数年や十数年かけて侵食するように企業にダメージを与えていきます。
こういった事態に陥らないためには、採用にも設計という概念を持ち込み、論理と物理が密接につながった「デザイン」をすべきです。
世のデザイナーと呼ばれる仕事をする人は、ほとんどが論理と物理をつなぐ仕事をしていると思います。そしてデザインの価値がなかなか理解されない業界とは、論理と物理が切り離されても一見物理だけで通用しているように見えている業界です。WEBデザイン(サイトそのものは素人でも作れる)もデザインの仕事がなかなか理解されない業界ですよね。しかし実際には論理に基づいたデザインを施したWEBサイトは機能美として美しく、目的達成のために一貫したデザインがなされています。
一方で、システム業界、建築業界などはデザインの仕事が一定の価値を持っている業界です。なぜなら、論理と物理が切り離されては成り立たないからです。システムは論理がないと止まってしまいますし、建築はそもそも設計できる人には資格が必要です。
では採用の業界は?
もうお分かりですよね。前者に属しています。論理と物理が切り離されていても「一見大丈夫そうに見える」業界なのです。しかしその影響は前述したとおり。じわじわと効いてきます。「最近いい人材が入ってこないな・・」と感じたら時既に遅しかもしれません。そうならないためにも、論理と物理の関係、デザインの重要性を理解し、自社の採用に導入していくべきなのです。
冒頭の問いに戻ります。
RDIの仕事内容をシンプルに表現せよと言われたらなんとこたえるのか。
「リクルーティング・デザインを導入する仕事です」と我々は答えるでしょう。
採用業界には圧倒的にこの概念が欠けています。物理が肥大化しすぎて論理を駆逐しています。この派手さが採用業界を歪んだ構造にしています。
求める人材を獲得する − このシンプルでいて難解な課題に対し、小手先のテクニックではなく科学性をもった論理を物理に反映し、一貫したデザインで解決すること。なぜその施策(物理)で良いのか、に対して根拠に基づいた説明ができるように設計(論理)をすること。
この考え方こそが、RDIのコンセプトなのです。
今回のブログで熱く(?)語ったRDIの仕事「リクルーティング・デザイン」について、日本最大級のHRイベントHRカンファレンスにて講演します。5月21日(火) 10:00から、場所は大手町サンケイプラザで入場料は無料です(事前申込みが必要)。
講演タイトル『新卒採用を本格化する企業に必須!「リクルーティング・デザイン」7つの導入事例』
詳細・お申込みは以下のバナーからどうぞ
お時間のある方は是非足を運んでみてください!
]]>早いものでもう3月ですね。いよいよ来月からは2014年度採用の「選考」が本格的に始まります。我々がお手伝いをさせていただいる面接官トレーニングもそろそろ佳境です。
さて、今回は少し挑戦的なことを書きます。タイトルにもありますが、
面接官トレーニングにロールプレイって必要ですか?
もう少し別の言い方をしてみましょう。
面接官トレーニングでロールプレイを実施することによって、応募者を適切にアセスメントするスキルが身についていると思いますか?
ロールプレイは、多くのお客様もご所望されますし、面接官トレーニングを販売しているベンダーもほぼ全ての企業がサービス内容に加えています。モニター学生を呼び、面接さながらの雰囲気で実施をしているところもあると聞きます。確かに、「ああ面接とはこういうものなのだな」という感触はつかめるでしょう。しかし、それが果たして「評価スキル」の向上につながっているのでしょうか。
ここで別の角度からこの話を考えてみたいと思います。一部の方はご存知ですが、僕はラーメンが大好きです。年間200杯くらい食べます。そのラーメンをメタファーに扱ってみます。
僕がラーメンを本格的に好きになりたてのころ、ラーメンに関する書籍を読んだことがありました。まだ今のように雑誌でラーメン特集が組まれることなどほとんどないころで、光文社の『ラーメンを味わいつくす』という新書です。
書籍内で著者の佐々木さんが「300杯くらいラーメンを食べれば何のダシが使われているのか分かるようになってくる」と書いており、僕は自分がその境地にたどり着くのを楽しみにしていました。鰹節や煮干しなどの分かりやすい食材は判断できますが、無数に存在するダシの材料を言い当てられればそれはかなりのレベルのラーメニストです。
ところが、300杯を超えてもなかなかそういった光が見えてこない。僕は記録に残してあるだけでも既に1000杯くらいはラーメンを食べていますが、それでもすぐに当てられる感じではない。もしかしたら味オンチなだけかもしれないですけど・・。
よく考えてみたら、具材を当てられないのは当たり前なのです。なぜなら僕は1杯ごとに「実際にそのラーメンに何のダシが使われていたのか」という正解を知らないからです。正解を知らないのに杯数だけを重ねても、一生正解にたどり着けるはずがありません。1杯ごとに正解を知れば、その経験がデータベースとして蓄積していって、そのうち当てられるようになるのだと思います。
さて、面接官トレーニングの話に戻りましょう。ロールプレイを実施すると、受講者から出てくる感想は大体このようなものが多いです。
確かに、面接の雰囲気や難しさは感じることができているようです。しかしそれらの経験は、応募者を適切に評価するということに何ら寄与しません。適切に評価できるようになるためには、応募者から引き出した情報をもとに「どのように評価することが適切であったのか」という正解らしきものと突き合わせて理解する必要があるからです。その「正解らしきもの」の情報提供がないと、数をこなしてもスキルは向上しません。上述のラーメンの話と同じですね。研究結果でも、面接をこなした数と評価の妥当性の相関は証明されていません。
そして大抵のロールプレイではそのような「正解らしきもの」は教えてくれません。「そこをもっと掘り下げましょう」といったアドバイスはあるかもしれませんが、掘り下げた結果どのような情報が引き出せれば良い評価とするのか、についてはブラックボックスのままです。
ここにパッケージ型面接官トレーニングの限界があると我々は考えています。「正解らしきもの」は企業側にしか存在しないのでその基準をトレーニングに組み込まないと真の意味でのトレーニングにはなり得ないにも関わらず、パッケージ型トレーニングではそういった組み込みができないからです。
主観も大切な要素ではありますが、評価に少しでも客観性を組み込んでいくためには、応募者から引き出した情報と基準を照らし合わせる練習をして評価スキルを向上させることが必要です。
そういった正解込みで、つまり面接官トレーニングをカスタマイズして自社の基準と照らし合わせためのロールプレイであれば、それは非常に有効なトレーニングです。むしろ、そういったトレーニングをどんどんやるべきです。自社のコンテクストに則っているわけですから、深堀りの仕方なども実践的なやり方が学べることと思います。
もちろん、面接の感触をつかむ、といったことが大事なのも理解はしています。まったくもってやる必要がないとは言いません。ただ、業界を見渡しているとロールプレイに過度に期待をしすぎではないか、と感じているのです。
むしろ、これは企業ごとの基準ではなくなりますが、架空の基準を公開してそれに照らしあわせて練習する「面接動画」のようなものの方が評価スキルの向上には役立つのではないか、とさえ感じています。これであれば自席で実施できますし、動画を多数用意すればたくさんの練習をこなすことができ、コストも抑えられるはずです。
人事の世界はやはり科学性という意味では遅れている分野なので、啓蒙活動も含めて僕らももっと採用活動に貢献していくような活動をしていきたいと思います。
ちょっとした宣伝ですスミマセン。かなり昔からサッカー関係の本はたくさん読んでいてその記録も残してありました。それを適切にアウトプットする場がなかったので、このたび個人的なサッカー関係ブログを立ち上げました。
22番の蹴球ファカルティ
よろしければご覧くださいませー。
今シーズンはフルマラソンは回避することになりました。春から夏にかけてはサッカーとフットサルの方が頻度多くなるかしら。
]]>毎度お知らせが事後になってしまい恐縮です。2013年3月1日づけでオフィスを移転いたしました。2010年11月より2年4ヶ月に渡りお世話になっていた日比谷のオフィスとはお別れです。
移転後住所
〒101-0063
東京都千代田区神田淡路町2−105 ワテラスアネックス1312
御茶ノ水、秋葉原、淡路町のどこからでも徒歩で5分から8分程度です。僕は自転車通勤なので少し近くなりました。
日比谷のオフィスの荷物を運び出した後に名残惜しく写真を撮ってみました。
え?オフィスの端っこだけ写したの?という感じですが、これが僕らのオフィスの全部だったのです。3坪。窓がなかったら息苦しくて泣いてしまいそうです。
新しいオフィスは15坪くらい。約5倍程度広くなりました・・というと聞こえは良いですが、前が狭すぎただけなんです。ようやく人並みの広さのオフィスになりました。
新しいオフィスはこのような感じ。
今度は室内にミーティングスペースも設けました。まだ椅子が2脚しかないですけど・・。
本棚は本を入れるとモチベーション上がりますね。前のオフィスでは本を平積みで入れていたので背表紙が見えず、もはや何の本があるのか分からない状態でした。こうやって背表紙が並んで見えるとインスピレーションもわきます。
実は新しいオフィスは御茶ノ水の再開発(?)の一環でできる広大な街区の一部でして、ワテラスタワーという41階建ての高層ビルと、ワテラスアネックス(RDIはこっち)という15階建てのビルの2棟及び公開空地や公園が一体となっています。41階建ての方は19階までがオフィスで20階以上が住居。住居はとてもエクスペンシブだと容易に想像できますが、なんと完売御礼だそうです。世の中持ってる方がたくさんいらっしゃるのですねー。
それぞれのビルの3階までは商業施設でレストランやカフェ、コンビニ、スーパーなどが入ります。
ですが、これらの施設は4月12日オープンでして、僕らのビルのオフィスだけ先行して3月1日より入居可能だったのでまだ館内も養生だらけで至る所で工事中でございます。コンビニ早くオープンしてくれないかしら。
不動産会社からもらったパンフレットによれば、4月は桜も咲いて近辺が華やぐそうです。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ!
#近隣においしいラーメン屋がたくさんあるのでラーメンマップもお楽しみに。
]]>今回は、妬み(ねたみ)、嫉み(そねみ)、僻み(ひがみ)を含んだ自らへのメッセージ、つまりは自戒を込めたエントリーです。雑文ですので、読み飛ばし可です。
僕は今年の3月、つまり2013年度採用の選考が(倫理憲章に則れば)始まる前にこんなエントリーを書きました。
就職活動って何かと仕組みや構造自体が敵視されたりしますよね。そこで実現性はともかく思考実験として解決法を考えたので案を2つ記したのです。
自分のエントリーですが引用します。
●エントリー費徴収制度
大学入試を考えたときに、1人で100大学受けるという話は聞きません。もちろん受験日が重なっているので実際にはそんなことは不可能ですが、片っ端から受験するという考えに至らないのは、一つには入試にお金がかかることがあると思っています。
そこでこれを企業のエントリーにも適用します。エントリーシートや履歴書の提出にエントリー費を課すのです。こうすることで、学生さんは自分が本当に行きたい会社(第一志望群と呼ばれる会社)とすべり止めくらいしか受けなくなるので、適性や価値観をもっと見極める必要が出て自己理解が深まります。同時に、就職活動が長引くことも解消できるのではないでしょうか。
さらに2つ目の案。
●模試制度
これも大学入試からのメタファーですが、大学入試においては各学生さんが目指す大学を模試から判定し、身の丈にあった大学を自らスクリーニングします。誰もが東大を受けないのはこのような仕組みがあることも関係あると思っています。
そこでこれも就職活動に適用します。SPIなどの試験では「基本処理力」が測定できます。この項目を判定に利用している企業は事前に基本処理力レベル(大学入試でいうところの偏差値)を設定し、学生さんは模試を受けることで「合格判定○%」といった結果を得ることができます。大学入試では、判定に20%などの値が出ればさすがに目標校を再考すると思います。それと同じ効果を期待できます。
これにより闇雲に企業を受ける、つまりエントリーシートを何十枚も出す手間が省け、就職活動の長期化に歯止めをかけることができるのではないでしょうか。
と書いたわけなのですが、まあ当然このブログ読んでくれている人なんてものすごく少ないし(読んでくれている方ありがとうございます大好きです)、反応なんて起こるはずもないんですよね。
そして月日は流れ2014年度採用の解禁日である12月1日、かの有名なおちゃらけ社会派ブロガーのちきりんさんがこんな記事を書きました。
ちょっと引用しますね。
全国の高校生のうち半分が大学に進学します。この大学受験市場は、就活市場よりは巧くまわっているように見えます。
「100社受けたけど、どこも通らなかった」という就活生の声は聞くけど、「100大学受けたけど、どこも通らなかった」という受験生の声はほとんど聞きません。
「それは大学の定員が進学希望者数より多いからだろう」と言われるかもしれませんが、就活市場だって2013年卒の求人倍率は1.27ですから、今は"大学全入時代"であると同時に、"就活全入時代"なんです。
(中略)
それなのになぜ大学受験市場では、就活市場のような"全員が疲弊する"みたいな結果に陥らずに、すんでいるのでしょう? その理由を考えれば、現在のトホホな就活市場を適正化するミラクルな解決策が浮かんできます。
その解決方法とはずばり、大学受験と同様、「応募検定料を、応募者が払うようにする」ということです。
と、文章は読みやすく分かりやすいしデータも交えてあるのでそもそもコンテンツとしても優れているとは思うのですが、主張内容は僕が書いたものと似てるといってもいいですよね?
もちろん僕もこのことを最初に考えた人でないですし、他にも同じようなことを考えて、もしかしたら実現のために既に奔走されている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ちきりんさんが書くと世間の反応が違います。
本音を言うと「いいなー」と思うわけなのですが、ちきりんさんもブログやソーシャルメディアだけで有名になった方ですし、「いいと思うんだったらおまえも有名になってみろよ」とブーメランが返ってくることが火を見るよりも明らかでして。そういうこともあって、自戒を込めてのエントリーというわけです。筆不精な僕ですが、もう少し注目してもらえるようにならなくてはいけないし、そのためのアウトプットの回数とか質とかソーシャルメディアの活用とか、もっとやっていかなくてはいけないなと感じたのでございます、ハイ。
受注できたお仕事の関係で最近ビジネスモデルやスタートアップや企業の持続的成長などに関する本ばかり読んでいたのですが、いったん落ち着いたのでそろそろ別ジャンルの本をと思っています。とはいえクリス・アンダーソンの『MAKERS』は気になりますね・・。
ラン再開しました。11月25日に丹沢湖ハーフで1時間53分30秒、12月2日に横浜ハーフで1時間49分50秒。この時期としては悪くないです。1月に千葉マリンハーフと新宿シティハーフ走ります。
]]>僕の中でマラソンのシーズンがやってきました。10月から走り始めて3月くらいにフルマラソンを1本走り、春先から夏にかけては暑いから走るのをやめてフットサルやサッカーの頻度をあげて、というサイクルをここ数年間続けています。暑いとフットサルもきついですけどね。
今シーズンは3月に板橋シティマラソンを走ります。それまでにハーフのレースを4つと30キロのレースに1つ出ます。フルとハーフで自己ベストを出すのが目標です。具体的な目標タイムはもっと近くなってから考えますが、フルは3時間40分〜45分くらい、ハーフは1時間40分くらいを出せたらいいなと思っています。
さて、そんなライフワークとなったマラソンから僕は人生において大切なことを学びました。それは簡単に言えば「内と外をどのようにすり合わせるか」という感覚です。
僕は『風の歌を聴け』と『ノルウェイの森』と『スプートニクの恋人』しか村上春樹の小説を読んでいないのですが、村上春樹は大好きです。なぜなら、彼がランナーだから。そして彼の走ることについてのメモワール『走ることについて語るときに僕の語ること』が僕のバイブルだから。シーズンに1回は読み直します。それくらい僕にモチベーションを与えてくれます。
その中で紹介されているマントラが決定的に僕の心に爪痕を残しました。まあ、このマントラは村上春樹のものではなくて別の人が言っていたものを村上春樹が著書で紹介していたのですが。
Pain is inevitable. Suffering is optional.
痛みは避けられないが、苦しみはオプショナル(こちら次第)
ああ、これはマラソンというスポーツの特徴をなんと的確に言い表したことか、と感銘を受けたことを覚えています。
マラソンを走っていると、物理的に両足やら腰やらいたるところが痛くなるし、痙攣したり得体のしれないひざ痛に襲われたり、それはそれは痛いことばかりなんですよ。僕みたいな素人に毛が生えた程度のランナーの方なら分かってくれますよね。
だけど、それが苦しいかと言えば、もちろん苦しいのですが、なんと言いますか、マントラにあるように「こちら次第」でなんとでもなるものなのです。沿道の応援に元気をもらったり、仮装ランナーで楽しい思いをさせてもらったり、キレイな女性が目に入ってきて心が和んだり(これは僕だけかな?)、苦しみは忘れてしまうことも多いのです。もちろん、自己ベストを出すために頑張りぬきたいという気持ちも苦しみに打ち克つために僕の中では大事な要素です。
何が言いたいかというと、外側の痛みをダイレクトに内側で処理する必要はないし、そうすることはむしろ避けるべきなんじゃないか、ということを僕はマラソンというスポーツを通じて物理的、身体的に、より原始的な部分で学ぶことができたような気がしているのです。
社会で生活していると、自分の外側では自分の意図しないことや自分の価値観から大きく外れたこと、理解できないこと、ドロドロしたことなどが多く起こりますし、否が応にも眼や耳に飛び込んできます。しかしそれを自分の内側でダイレクトに処理しようとすると、どうにもすり合わせがうまくできなくてイライラしたりギクシャクしたりネガティブになったり、いいことがありません。
外側で発生した事実を内側でどのように解釈するのか。これ次第で自分の中で処理がしやすくなりますし、そうした方がメンタルのコントロールもできて僕にとってはいいことばかりです。
その処理のためのフィルターみたいな装置を、僕はマラソンを通じて少しずつ、ほんの少しずつ確固たるものに、そして柔軟性があるものにできているような気がしています。
・・・
と、そんなようなことに思いを巡らせていたら、よく考えたらサッカーからも僕はいろんなことを学んだよな、と。だけど1回でそれを書こうとすると長いのでやめました。2回に分けます。僕がサッカーから学んだ組織行動については次回。
全国のラーメンファンのみなさまお待たせいたしました。前回好評だった銀座周辺おすすめラーメンマップ2012に続いて今回は池袋のラーメンマップです。僕が現在板橋区に住んでおりますので池袋のラーメン経済にほどよく貢献している今日この頃であります。あくまで僕の好みですので、あしからず。
地図が小さいですスミマセン。クリックすれば拡大できます。
①狸穴
「まみあな」と読みます。つけ麺がオススメです。いわゆる濃厚魚介豚骨系のよくある味ですが、味が特に濃厚でこの手のつけ麺の中ではとてもよく出来ています。店内狭くて麺のゆで時間が長いのでいつも並んでます。
②キングコング
トロフルつけ麺というフルーツをふんだんに使ったトロピカルなつけ麺を提供しています。なかなかおいしいと思うのですが、近所の①狸穴と③俺の空の人気には勝てずたいてい空いてます。狸穴と俺の空が並びすぎているときにどうぞ。つけダレの温めなおしに好意的に対応してくれます。
③俺の空
高田馬場の俺の空と同じ味です。前は我空という名前で営業していましたがブランドに頼る作戦に切り替えて馬場と同じ店名にしました。浸けそば、掛けそばともに細麺でおいしいです。豚にパンチがあります。
④瞠
つけめん、らーめんともにおいしいですが、つけ麺であれば狸穴の方が上な気もするのでらーめんがオススメです。濃厚魚介系でつけ麺向きのスープだけどらーめんも仕上げてきてます。蛤や伊勢海老など珍しい食材を使った限定メニューもおいしいです。
⑤まるきゅう
鶏だしの透明スープあっさり塩ラーメンを食べたければぜひまるきゅうに足を運んでみてください。清湯スープとしてはかなりの出来映えだと思います。お店のお姉さんはキレイで愛想がよくて僕好みです。
⑥麺屋武蔵二天
以前はジュンク堂の近くにあったのですが最近移転しました。移転とともに、オープン当初提供していた豚天と鶏天を復活させました。いかにもジャンクですが、ラーメン食べる人に健康を気にする人はいないのでみんな喜んで食べています。個人的には豚天の方が好みです。
⑦鶏の穴
鶏を使った白湯のラーメンで、白鶏と赤鶏があります。赤鶏はちょっと辛目です。オーソドックスに白鶏がオススメです。月替りで限定を出していますが、ちょっとネタっぽいところもあって限定はあまりオススメしません。
⑧前略っ。まるきゅう
まるきゅうと同じく鶏を使っていますが、こちらは白湯でドロッとしたスープです。鶏だしのつけ麺でここまで濃厚なものは珍しいと思います。油そばもドロっとした感じが麺によく絡んでオススメです。おいしくてラーメン界でも評価が高いのに駅から遠いためかいつも空いています。つぶれないか心配です。みなさん食べに行ってあげてください。
⑨椿
濃厚魚介系のつけ麺では最高峰です。僕は東の狸穴、西の椿と勝手に番付みたく呼んでます。リーダー格の兄ちゃんがめちゃ怖くて店員はいつもビビりながら仕事してます。店員が怒られることも多く、そのたびに店の空気が固まります。油そばもおいしいです。
⑩フルル
ハワイが大好きらしく、ハワイ名物のスパムを使った変わり種ラーメンです。店内ココナッツの香りがして、様相も南国そのものです。塩も醤油もどちらもおいしいです。たまに働いているお姉さんがモデルさんみたいにキレイです。
⑪生粋
メニューがたくさんありますが正油そばがオススメです。焼いたサンマを裏ごししてダシを取っていて、単なる魚介系とは一線を画した味が楽しめます。池袋西口のラーメン屋の中では僕は一番好きです。
⑫麺舗十六
つけそばがオススメです。昼しか営業していなくて駅から遠いので行きにくいです。そういう希少感がオタクの心を揺さぶり、いつも並んでます。麺がモチモチでおいしいです。
⑬バッソドリルマン
何度行っても道に迷います。みなさんも地図を見ながら行った方がいいです。つけそばがオススメです。濃厚魚介系で、麺が自家製麺でコシがあってすごくおいしいです。ちなみにバッソというのはソバのことで、ドリルは小学生の算数ドリルみたいな学習書のドリルのことらしいです。ソバを学び続けます、という意思表示らしいです。
⑭バッソドリキュウ
まるきゅうとバッソドリルマンは仲良しで、以前バッソドリルマンが麺をまるきゅうに提供したりしてました。この場所の店舗はまるきゅうがいろいろ看板を変えながら営業していたもののなかなか売れず、ついにコラボ店としてオープンしたら人気が出た、という流れです。以前は味の素の瓶に「毒の素」と書いてテーブルに置いてあったのできっと味の素さんの攻撃にあったんじゃないかと思います。
最近は請け負ったビジネスの関係もあり、採用や育成の本というよりも巷で話題になったビジネス書を中心に読書を進めています。競争、ビジネスモデル、スタートアップ、企業の持続的成長などがテーマになっている本です。せっかくたくさん読んだので自分なりの理解をまとめ、何を理解したいときにどの本がおすすめなのか紹介しておこうと思います。
まずは「ビジネスには競争がつきものである」というところから始めます。
競争といえば大家マイケル・ポーターの『競争の戦略』が有名です。しかし、この本は難解でありMBA取得を目指すような方は読んだほうがよいと思いますが、ライトに競争を理解したいという方には不向きです。そこでオススメするのが『ポーター教授「競争の戦略」入門』です。原著をわかりやすく解説してあり、競争とは何たるかを理解するためには本書で十分です。
ポーターといえばファイブフォース分析が有名ですね。
ファイブフォース分析とは、「新規参入業者」「競争業者」「買い手」「売り手」「代替品」の5つの要因の作用で業界内の魅力や競争状態が決まるということです。
ファイブフォース分析は企画を立案する際にも重要な手がかりとなるものですが、僕はポーターの教えの中で最も重要で簡単に覚えておけるものとして、競争の基本戦略があると思っています。ポーターは競争戦略は基本的には3つのパターンしかないと言っています。
3つの基本パターンの中からどれを選択し競争に勝つのかを詳しく決めるために、次にビジネスモデルの選択が必要となります。
コストリーダーシップ戦略は一部の大手企業が豊富な経営資源をもとに採用するので、ほとんどの企業は差別化戦略か集中化戦略を採用することになります。集中化も含めた差別化要因としては製品設計や製品特徴、ブランドなど様々あり、それらを踏まえてどのように利益を確保するかを考えるのがビジネスモデルの設計です。
利益を確保することをどのようにモデル化して理解するかについては『ザ・プロフィット』をまず読んでみることをオススメします。物語形式で23の利益モデルが紹介されます。この23のモデルも演繹的に考えられたものではなく経験と実践から導き出されたものなので、当然全てではありません。
新たに登場したビジネスモデルの中で最も脚光を浴びたものは『フリー』で紹介されたフリーミアムです。『ザ・プロフィット』でいえばフリーミアムは製品ピラミッド利益モデルに近いと思いますが、無料であるという特徴は打ち出せていないので新しいモデルと考えてよいでしょう。
『フリー』より少し前にはアマゾンに代表されるロングテールという考え方も脚光を浴びました。そのロングテールブームに火をつけた『ロングテール』の著書は『フリー』と同じクリス・アンダーソンです。ロングテールは『ザ・プロフィット』でいえば専門品利益モデルに近いと思いますが、専門品でなくてもニッチに食い込めることを示した点でロングテールは新しい考え方と言ってよいと思います。
ビジネスに登場する要素を図解で示し、シンプルな分かりやすさを追求した『ビジネスモデル・ジェネレーション』もオススメです。ビジネスモデルというからには図示できるはずであり、本書ではビジネスのキャンパスを9つの構築ブロック(要因)で示しています。様々な戦略の実例も記載されており、実践的理解に役立ちます。2012年に出版されたのでフリーモデルやロングテールが単体の戦略として紹介されているのも特徴です。
ここまでは競争を前提に企業の戦略について紹介してきました。
これから紹介するブルーオーシャン戦略は、そもそも競争のない業界である種「勝ち組」になる考え方です。
ポーターの3つの競争戦略を思い出すと、集中化戦略は対象を絞ってコストリーダーシップ戦略または差別化戦略を実現することですので、基本パターンは3つではなく2つしかないということです。そしてこの2つ、つまりコストリーダーシップ戦略と差別化戦略は同時に実現することは難しいとされています。なぜなら、何らかの差別化を実現するためにはコストが発生することが常だからです。
しかしこの2つを同時に実現し業界構造そのものを変化させることで競争相手がいない状態を作りだす戦略が生み出されました。著書名にもなっている『ブルーオーシャン戦略』ですね。
ブルーオーシャン戦略の肝は、業界においてお客様が価値を感じている要因はどこにあるのかを詳細に分析してその価値をコストをかけてでも高め、逆に価値が低い部分をなくしたり減らしたりすることでトータルのコストを抑えたままで価値を最大化する戦略です。
この考え方が登場してから、「産業構造派」として既存の業界で勝負をするのか、もしくは「再構築派」として新たな業界を再構築して勝負をするのかというそもそもの戦略を選択することが重要視されるようになりました。
これらの戦略やモデルをもとに何らかのビジネスの種を持ち、不安な状況ながらも起業を考えている方もいらっしゃるかと思います。また、企業内で新規事業の立ち上げに関わる方も多いことでしょう。
そんなときに役立ててほしいのが『リーンスタートアップ』で紹介されているスタートアップの方法です。
本書ではスタートアップを次のように定義しています。
スタートアップとは、とてつもなく不確実な状態で新しい製品やサービスを創り出さなければならない人的組織である。
社内で企画を立てるとき、過去の実績や事例を参考に数値的根拠と明確なシナリオを作り上げ上層部を説得するという作業は確かに大切です。しかし、スタートアップとはロケットの打ち上げではありません。ロケットは発射時に1ミリでも軌道が狂えば宇宙に飛び出したときには途方も無い影響が出ます。しかし、スタートアップは自動車の運転に近いものです。道を間違えたら正しい道に戻ればいいのです。
この考えに基づけば、スタートアップで最も重要なのは、MVP(実用最小限の製品:Minimum Viable Product)を早く世に投入し、そのフィードバックから得た学習をさらなる改良に振り向けることであることが分かります。このループを著者は「構築→計測→学習」のフィードバックループと呼んでいます。
大切なのは当初決定したスケジュールに則り進捗を管理することではありません。そもそも当初の決定から世の中の状況が変化し、もしくは競合が先駆けて製品を投入し、自分たちが創りだそうとしている製品の価値がなくなっているかもしれません。そのようなときでも「要件を満たすことこそが最重要」と言わんばかりに進捗管理にこだわるのは無駄以外の 何物でもありません。
自分たちが提供する価値を決定する要となる指標を設定し、その指標を数値で確認すべきです。例えばウェブ系のサービスでいえば新規アクティブユーザー獲得数や、有料サービスを使用してくれているユーザー数などです。その指標が伸びていなければ、戦略を変更するか辛抱強く留まるかの意思決定をすべきなのです。
僕は、企業内で企画を承認する立場である役職の方にこそ本書を読んでもらいたいと思います。企画とは、ケチをつけようと思えばいくらでもできるものです。それよりも、スタートアップが成功するためにどのようなことに気をつけ、何を指標にすべきかのとても多くのヒントが本書から得られます。
企業が成長を続けるために必ずいくつかの壁に突き当たります。スタートアップ直後でいえば、アーリーアダプターから一般ユーザーにお客様セグメントを変更したときにうまくいかなくなることがあります。また、一般ユーザーに対しても成功したが故にその成功の延長線上を進む「持続的イノベーション」を選択し、後に思いもよらない代替品や業界構造を変化させるような戦略による「破壊的イノベーション」の後塵を拝することがあります。
この教訓を学ぶことができるのが『イノベーションのジレンマ』です。ユーザーが感じる価値の変遷はとても移ろいやすく、それを見誤ると取り返しのつかないことになります。
最近でいえばゲーム業界が好例でしょう。任天堂DSやWiiで破壊的イノベーションを起こし業界を席巻したかに見えた任天堂ですが、今や携帯ゲームの勢いに完全に押されています。ゲームの価値をタッチパネルや身体を動かすことにシフトしたところまでは良かったのですが、安価で隙間の時間に自由にプレイでき、ときにはソーシャルな機能をあわせもつ携帯ゲームの破壊的イノベーションに飲み込まれています。
また、1995年(もうだいぶ昔ですね!)に出版された不朽の名著『ビジョナリーカンパニー』では、社会に消えることのない足跡を残す卓越した企業になるための共通因子を明らかにしています。
時代の変遷にも変わることのない「基本理念」こそが、卓越した企業に最も必要なものであり、そこからスタートすべきと著者のジム・コリンズは説いています。前出の『リーンスタートアップ』においても「ビジョン」は変えず、「戦略」はときに変更するか辛抱するかを判断し、「製品(商品)」はフィードバックをもとに学習し改良せよと、変化するものと変化しないものを層別に捉えることを薦めています。
どのビジネス書もベストセラーであり本屋に行けば一番目立つ棚に一番目立つように置かれていたような書籍です。そこで何となく手にとって読めば「なるほど」と思うことはあるものの、自分自身にテーマや軸がなければそれ以上でも以下でもない存在になってしまいます(まさに僕がそうでした!)。
そんなときに、ビジネスというフィールドで考えるとこの本はこの辺りのことを書いているんだよ、という構造的示唆があれば理解に役立つと考え今回まとめてみました。少なくとも僕自身は各書を読む前はこのような理解をしていませんでしたので、これからビジネスについて勉強する方の助けになればうれしいです。
]]>最近各方面でアナウンスしているので耳にした方もいらっしゃるかもしれません。RDIは株式会社ディスコのキャリアリサーチと協力して人材採用研究会を発足させました。月に1回のペースで研究結果の報告や勉強会を開催していきます。概要やスケジュールなどは人材採用研究会(HR-R)のウェブサイトをご覧ください。
人材育成は昨今の流行の影響か、勉強できる場は多数存在しますし学術的な研究も進んできています。しかし、採用となるとなかなか学べる場が存在しないのです。
採用の話題といえば、未だに母集団形成のための広報という領域に限定されています。もちろん母集団形成が重要なことは分かります。特にBtoBの中小企業などはまず自社を知ってもらわないと話になりませんので、そういう意味でも広報活動に力を入れざるを得ません。しかし、母集団という網を広げて学生を集めたとしても、そこから先の選考でどのようにして自社で活躍してくれる学生を評価して自社を選んでもらうように惹きつけるのか、その視点に欠けていては元も子もありません。
では選考については各社はどう考えているかというと、面接官の主観に任せるか、もしくは面接官トレーニングだけを外部ベンダーに発注すれば何とかなると、そう考えているように見えて仕方がありません。主観に任せるのは企業の仕事としてはあまりに危険ですし、面接官トレーニングを実施すれば何とかなるということでもないのは以前「面接官トレーニングは万能ではない。伝えるべき中身を設計してこそ意味がある」で書きました。
そして、そのあたりに課題があることは誰もが何となく分かっているはずなのに、選考について(もっと言えば人が人を評価するということについて)学べる場がありますかと言われれば、現状どこにも存在しないのです。
ならば、僕らがそのような場を作ればよいではないか。
と、考えたのが立ち上げの動機です。
僕らの仕事は知見を提供することが成果の大部分であるということもあり、その知見を勉強会の場で提供してしまうことは自分たちの首を締めることになるかもしれないという危惧もありました。しかし、知見は使ってもらわなければ価値がありませんし、僕らはさらに勉強して新しい知見を獲得すればいいだけの話です。
そんな流れで、見切り発車かもしれないけれど、ひとまずやってみようと意気込んで立ち上げに至りました。
去る8月24日に無事に研究会の第1回を開催することができました。初回ということもあり、ベルサール飯田橋という立派な会場で100名近くの方にご参加いただきました。
第1回のテーマは「決めさせる選考」で、首都大学東京の林准教授に「新卒採用における決めさせる選考の実施に関する調査」の報告をしていただきました。
採用においてよく「応募者に自社を選んでもらう」という表現を使いますが、これには「受けてもらう」ことと「決めてもらう」ことの2つの意味合いがあります。我々はそれぞれ「受けさせる動機づけ」「決めさせる動機づけ」と呼び、両者の動機づけは異なるものであることを独自の調査から明らかにしています。
今回取り上げたのは後者の「決めさせる動機」です。応募者はどのようにして進路先企業を決定しており、自社に振り向かせるために採用担当者はどのような設計をすれば効果があるのかを定量的に明らかにした調査報告です。
開催報告については2012年8月24日開催「新卒採用における決めさせる選考の実施に関する調査」報告をご覧ください。
第1回はセミナー形式でしたが、第2回以降は20名〜30名程度の少人数で勉強会の雰囲気で実施していきます。
第2回は求める人材像にまつわる話題を中心に取り上げます。
求める人材像は昨今「きちんと作るべき」という流れになってきていますが、では求める人材像をきちんと作ると採用選考にどのようなメリットがあるのかについての定量調査結果を紹介します。そして、求める人材像をきちんと作成し、それを応募者にどのように見せていくのかについて事例を紹介します。
RDIが作成した「求める人材作成カード」を使用して簡易的に求める人材像を作成するワークも実施します。使用した「求める人材作成カード」は参加特典として差し上げます。
開催概要は2012年9月26日(水)開催「求める人材像と適切な選考設計」をご覧ください。
何はともあれ、人材採用研究会は発足そして開催にこぎるけることができました。今後は継続していくことが大事だと感じていますので、月に1回を基本として採用にまつわるテーマを取り上げて研究会を開催していきます。もし取り上げてほしいテーマなどありましたらご連絡くださいね。
今後とも人材採用研究会を、そしてRDIをどうぞよろしくお願いいたします。
]]>Source: london2012.com via Ayako on Pinterest
ロンドンオリンピック、興奮しましたね。毎日メダル獲得するなんてホントにすごい。生放送で泣いて、ハイライトで泣いて、総集編で泣いて・・と毎日涙涙でした。真剣勝負が毎日見られるオリンピック、いいですね。2020年に東京で開催してほしいです。
個人的に男女サッカーの躍進やボルト選手のレジェンドなど注目した競技は山ほどあったのですが、お仕事に結びつけるとやはり気になるのは採点競技です。なぜって、体操や新体操、飛び込みなどの演技を採点するのって要はアセスメントじゃないですか。我々は新卒採用で応募者をアセスメントする仕事をしているので、共通点はないのかな、などとついつい興味が湧いたりするのです。
すると興味深いことが分かりました。細かい点で特色はあるものの、上述の3つの競技は全て難易度に関する得点と実施に関する得点を足したり掛けたりして採点していました。例えば体操で言えば日本体操協会のサイトに次のように書かれています。
得点は、演技の難しさなど構成内容を評価するDスコア(演技価値点、Difficulty score)と演技のできばえを評価するEスコア(実施点、Execution Score)の両者を加算して算出されます
なるほどDifficulty scoreか・・としばし考えこんでしまいました。
採用を少しかじったことがある方であれば構造化面接やコンピテンシー面接という言葉を聞いたことがあると思います。面接において行動特性を評価する手法で、主に応募者の行動事実の発揮レベルに焦点を当てる点に特長があります。ここでいう「行動事実の発揮レベル」とは、体操の例で言えばEスコアに相当します。選考をきちんと設計している企業であれば、「行動事実の発揮レベル」に関して明文化された基準を作成し、評価を客観的に実施しています。体操も主観で演技を評価するわけにはいきませんから明文化された基準が存在するはずで、Eスコアに関しては体操も面接も同じレベルで実施していると言えるでしょう。
ではDスコアに相当するものはどうなのでしょうか。面接でいえば、「行動事実を発揮した状況(コンテクスト)の難易度」ということになろうかと思います。面接官もなんとなくは評価はしているのだと思います。サークルで同学年の気の知れた仲間の中で主体性を発揮するのと、外国で言葉も通じない中で主体性を発揮するのとでは当然難易度が異なりますから、後者のほうが優秀であろう、と。
しかし実現しているのは「〜であろう」という推測であり、明文化された難易度が存在しない主観の世界です。
コンピテンシーを書籍などから学ぼうとすると、ややもすると「場は関係なく、行動事実のみに着目する」と書かれていたりします。それはそれでまったく間違っているとは思いませんが、いったん座学から離れて現実に目を向けるとそこに「場の難易度」は確実に存在することが分かります。学生生活では発揮できた行動特性が社会人になると発揮できない、というのはまさしく場の難易度が要因です。
この難易度に相当する概念を客観的に評価することを真剣に考えなければいけないのではないか、と思うのです。
採用というより人事の世界の話ですが、この世界はアートやスポーツ、その他の人文科学よりだいぶ遅れています。がんばって参考にしながら追いついて、さらにそれを広めていかなければなりません。
今回Dスコアを知ってことさら採用はがんばらなければいけないなと感じました。ちょうど僕らも少し前のブログ記事「グローバル人材とは何か。コンピテンシーとコンテクストを分けて考える」で書いたように、行動事実の発揮の背景に着目することが今後重要になると考えていたところです。注目していた考え方がまったく別の流れからも自分のもとに情報として入ってくるという経験はこれまでも何度かあって、こういうときは間違いなく「それ大事だよ。追いかけたほうがいいよ。」というサインです。笑
もともとコンテクストの考え方を持ってきたパターン・ランゲージを追いかけるか、難易度という観点で他分野の設定を追いかけてみるか。こういうときはワクワクしますね。
]]>2013年入社の新卒採用は一段落して、早くも来季の戦略立案に入っている企業も多いことと思います。来季のことを考える際に大切なのが振り返り、つまり今年度の採用はうまくいったかどうかを検証する作業です。調査分析については最近も採用の質を向上させる。その第一歩は定量的な調査分析からで書きましたがまたしつこく書きたいと思います。
採用の世界はプロジェクトという概念もまだあまり浸透していない、かなり遅れた世界だと思っています。僕はIBMでSEをやっていたころ、プロジェクトマネジメントの重要性についてかなり叩きこまれました。会議体とレポーティングライン(体制)を定め、QCDを意識する、これは新入社員のテキストにも出てくるくらい初歩的なことだと思っています。ところがITの世界を離れると、こういった基本がなかなかどうして大切にされていないことに気づきます。
特にQCDのQ、つまりQualityに関しては「ん?これでいいんだっけ?」と思わされることが少なくありません。確かに人材はまだまだ定量的には測定できないことも多く、感覚や主観に頼らざるを得ない領域です。しかし定量的に効果検証できることも多々あります。今回はその効果検証の考え方を取りあげてみたいと思います。
採用ではイベントで自社の認知をあげるという考え方が重要視されています。確かに、BtoCの企業でなければ大学生に知られていない企業がほとんどですから、まずは知ってもらわなければ意味がありません。
映像を交えたり社員を動員したりして演出を工夫して、参加してくれた学生にアンケートを取ります。そのアンケートで満足度が5点満点で4.2点と高得点だったとします。果たして、これは喜んでいいことなのでしょうか。
もちろん、満足度が高いことは悪いことではありません。一定の結果は得られたと考えてよいと思います。しかし一番大事なことは、そのイベントが採用に結びつくための何らかの効果をもたらしたか、ということです。具体的には、イベントに出たことによりその企業への認知が高まったりエントリーしたいと感じたり入社したいと感じたりしたか、ということです。イベントは採用の手段であり、イベントだけの単発の成果だけで論じてもあまり意味がありません。
そんなことは分かっている・・と思われそうですが、、では実務として前年度の採用の振り返りのための検証をしようとなると、ここで書いたようなことが実際に行われているのです。
では、単発の成果ではなく真の成果を確認するためにはどのようにしたらよいでしょうかという話になりますよね。要は、イベント単発ではなくイベントが目的に寄与したかの関係性を確認すればよいことになります。
単純に考えれば、例えばこのような図になります。
イベントでの満足度が、志望順位に寄与したかどうかを確認すればよいということです。ただ、ここで疑問がわきます。志望順位が高い人はもとから高かっただけの話で、イベントに参加したから上がったわけではないかもしれない、と。そこで、イベント参加前の志望順位も確認しておき、統計的手法でイベント参加前の志望順位の影響を排除した上でイベントの効果を明らかにします。場合によっては男女や通っている学校、住んでいる地域なども志望順位に影響をおよぼす可能性がありますのでこれらも排除しておくとよいでしょう。
このようにして、特定の要因(この場合はイベントの満足度)が目的(イベント参加後の志望順位)に影響を与えているかどうかを調べるのが回帰分析という手法です。回帰分析はサンプル数が一定程度以上いないと成り立ちませんので、場合によってはクロス集計でもよいです。いずれにせよ、単発の効果ではなくて2変数以上の複数の変数の関係性を調べないと、本当の意味での検証とは言えないと思うのです。
繰り返しますが、調査で明らかにすべきは「ある変数Aが明らかにしたい変数Bに影響があるかどうか」です。採用の世界では、例えばAやBには以下のような変数が当てはまります。
このように仮説をたてて調査をすれば、例えば以下のようなことが具体的な数値とともに明らかになります。
どの施策が何に効果をもたらしたのかが数値とともに分かりますので、次年度の採用戦略に直接的に使用できる検証となること間違いありません。
採用は個人情報の塊みたいな世界ですから、どこの学校のどんな人がどのイベントに参加して面接でどんな評価を受けて内々定に至ったかという情報を人事部は持っています(個人を特定しない形での分析への利用は個人情報の使用許諾の際に書かれているはずです)。足りない情報はアンケートの形で取得すればよいのです。せっかくデータがあるのですし、なにより定量的な振り返りは重要だと思いますので、ぜひ効果検証にも目を向けていただきたいな、と思っています。
マンガ 統計学入門―学びたい人のための最短コース (ブルーバックス)
統計は少し難解な世界で、僕も説明にはよく苦労します。そういった難解な学問に取り掛かるのにマンガでまず学ぶのはものすごくオススメです。本書はマンガではなく挿絵が多い本ですが、統計で何が分かるかということを統計の歴史とともにわかりやすく解説しているので初学者には良いと思います。ただし、この本を読んでも統計分析ができるようにはなりませんのであしからず。分析をするためにはやはりソフトを実際に使用して練習する必要があります。
ランはめっきりサボっているのですが、最近5年ぶりくらいに大サッカーをする機会に恵まれました。それも6:30〜8:30の朝練(@飯田橋)で。練習後に出社するというとんでも企画ですが、なんと先日は28名も集まりました。興味ある方はお声がけください!
]]>最近電話やメールで「今どこどこにいるんだけどおいしいラーメン屋知らない?」と連絡を受けることが多い僕。仲間内ではなかなかの信頼度を得ております。そこで今年のラーメン記事は街に焦点を当てた内容にします。第1回はRDIのオフィスがある銀座近辺。好評であれば他の街もやります。候補は池袋、新宿、高田馬場、神保町あたり。
マップ上の番号と照らしあわせて見てもらえれば。場所は大体あってるはずですが責任は持てません。行くときは調べてから行ってくださいね。
①麺屋ひょっとこ
有楽町駅前の交通会館の中にあります。2畳分もないのではないかと思われるくらい狭い厨房でおじいちゃんとおばあちゃんが切り盛り。カウンターのみ。和風柚子柳麺がおすすめです。昼はかなり並びます。
②ど・みそ
僕が好きな味噌ラーメン屋四天王の一角です。濃い目の味噌が好きなら行ってみるべし。北海道味噌とは一味違った味噌が味わえます。カウンターのみ。まずはオーソドックスな味噌らーめんを食べて、気に入ればつけ味噌や味噌カレーなどにチャレンジするのがよいでしょう。
③支那麺はしご
担々麺のお店です。中華料理屋の担々麺をイメージすると近いと思います。担々麺と書いてダンダンメンと読ませるあたり、本格的な香りがしますね。朝まで営業しているのでラーメンが食べたいけどもう他は閉まっている、というときにもおすすめ。カウンターのみだけどお店は広いです。
④銀座五行
おしゃれ店舗で昼時はOLの1人ラーメンも見かける。夜はお酒や一品料理も多数提供するおしゃれ居酒屋。木金土は27時まで営業してる。焦がし味噌と焦がし醤油はどちらも他にはあまりない味で是非食べてほしい。熱いので火傷しないように。
⑤香味徳
牛骨ラーメンは鳥取で始まったらしく、その先鋒が東京にも進出。まずは塩の香味徳ラーメンを食べるのがいいのだけど、僕は最初から振りかかっているブラックペッパーはない方がいいと思う。味が強すぎて引っ張られる。できれば注文時に「ブラペなしで」と言ってみてください。僕は言ったことないですけど。
⑥銀座朧月
銀座でおいしいつけ麺といえばここ。豚骨魚介系の濃厚つけ麺でそこは代わり映えしないのだけど、とにかくダシが濃厚。しょっぱいとかとは違って、よく味が出ているという印象です。カウンターのみで狭く、麺のゆで時間などもある関係で昼はかなり並びます。30分待ち当たり前。並びすぎていたら、隣の支那麺はしごへどうぞ。
⑦ハカタノチカラ
一風堂が始めたチャンポンのお店。どうやらおいしいチャンポンは長崎だけじゃなくて博多にもあるぞ、と言いたいらしい。チャンポンには詳しくないけれど具もたくさん入っていて味も染み込んでいておいしいのではないだろうか。トンカラというジャンク系トンカツが乗っているチャントンがおすすめ。メニューにはチャントンと書いてあるのに店員さんはトンチャンと呼んでいるから混乱しないように。
⑧銀座いし井
ハカタノチカラの隣のお店。麹町や飯田橋、小川町で行列のお店二代目つじ田と同じ味。なぜ店の名前を変えたのかは分からない。豚骨魚介系のつけ麺で、なぜか中華せいろというメニュー名。すだちを麺に絞って食べるとキュッと味が締まって二度美味しい。銀座でつけ麺食べるなら朧月かいし井ですね。
⑨プルーカフェ
カフェというくらいだからホントにカフェなのですが、なぜか山形ラーメンを提供している。もともと冷たいラーメンを始めたのが山形の栄屋というお店で、その流れで山形といえば冷やし、と認識している人もいる。山形冷やしラーメンはスープを凍らせたブロックアイスが入っていて、最後まで冷たく食べられる。女性の1人客も多い(ラーメン食べてるかは別にして)。
⑩月と鼈
つきとすっぽんと読みます。すっぽんは使ってないらしいけど。煮干しのつけ麺、ラーメンを提供していて、昼は近所の愛宕とともにサラリーマンの行列。煮干しといえば凪が有名だけど、あそこまで煮干しが強烈なわけではなく、一般の人向け。僕はどちらかと言えば愛宕が好きですわ。
⑪京鰹節つけ麺愛宕
前は昼と夜でメニューを分けていたけど今は昼夜問わずメニューにあるもの全部食べられるようになった。基本は豚味(こってり)と鶏味(あっさり)があり、それぞれにラーメン、柚子ラーメン、つけ麺があるので6種類の味が楽しめます。僕のおすすめは、こってりラーメン。柚子でもどちらでもいいです。店名につけ麺と入っているけどラーメンのほうがおいしいです。
⑫麺処銀笹
和食出身のご主人が日本食のおもてなしをラーメンにも、と2011年にオープンしたお店。2011年オープンでは秋葉原のくろ㐂と並んでメディア大注目の人気店。白醤油、塩ともにかなりのクオリティで、あっさりしながらもダシがよく出ていてコクのあるスープがおいしい。行きにくいところところにあるけど、ぜひ行ってほしいです。
In modern football,"how you coach" is much more important than "what you coach".
現代サッカーでは何を指導するかよりも、どう指導するかの方が重要である。
最近読んだ『サッカーコーチングレポート』からの引用です。僕らの携わる育成の世界でも通ずるところがありますよね。今日はその辺りのwhatとhowについて思うところを書いてみたいと思います。
講演やセミナーに出席すると、概念上や理論的に素晴らしいことを述べて最後に「結局はあなた次第です」「人それぞれなのであなた自身にあう方法を見つけてください」と締めているケースをよく見かけます。自分の頭で考えるのはとても大切なことなので悪いとは言いません。しかし僕の経験上、これで行動に移せるのは100人に1人です。なぜなら、これでは何(what)が大事かは教えられていますが、どう(how)実践すればよいかが分からないからです。
人はinputすることで満足しがちで、そこから一歩踏み出すことが如何に難しいかは、僕自身の経験からよく分かります。
ただ、育成を生業にしている以上「学習は状況に組み込まれている」と最もらしいことだけを述べてhowを語らない人にはなりたくないのです。
では、どうやって人の行動を変容させるのか。コーチングや、射幸心をあおるゲーミフィケーションなど、このあたりの研究には枚挙にいとまがないのですが、僕が大切だと感じていることを2つ紹介します。
禁煙のためのカウンセリングで、20分禁煙できないというクライアントに対して会話しながら時間を稼ぎ「今20分経ちましたがあなたタバコ吸ってないじゃないですか」と自信をつけさせる方法があります。
「できた」という成功体験は、次もできるはずという自己効力感を生み出します。なので、禁煙の例にあるようにその場で擬似体験してもらうのは、行動変容のために有効であると考えています。
ただし、現実とかけ離れた場面でのみ体験してもらっても効果は薄いです。例えばチームワークの醸成が目的であれば、実際にチームメンバー全員を対象にチームで協力しなければクリアできないアクティビティなどを体験してもらうのが効果的です。
先述の『サッカーコーチングレポート』では、野外活動の専門家で筑波大学の坂本昭裕先生のプログラムを紹介しています。引用すると、
筑波にある野生の森では、ギリギリがんばらないと登れない高い壁をみんなでなんとか協力して登るというトライもしました。最初、身体の大きいGKが「俺が乗せてやるからドンドン登れ」と言って順調に登る。しかし最後、「一番体重のあるGKを残してどうするんだ」となる。(中略)
このプログラムの効果として、短期的な視点では充実感や達成感を味わえます。そして本当の効果が出てくるのがシーズンの終盤、本当に苦しくなったときです。ここからがんばらないといけない、というとき、みんなで乗り越えたプログラムのビデオを流して「あのとき同じように苦しいときがあったよな。でも、あのときもがんばって乗り越えたよな」そう言って、選手たちを鼓舞することもありました。
という感じです。
プロサッカーでのケースですが、我々ビジネスパーソンにも通ずるところがあり、参考にすべき内容だと思います。
理論はそれで素晴らしいですし、採用や育成の世界を発展させる一翼を担うのが研究だと思いますので非常に重要です。
一方で、理論は高度に抽象化されたものであるため、「自分の生活にあてはめるとどういうことなのか」という具体的な内容に落とし込みにくいという側面もあります。
単純化すると、目標を持つのが大事、という当たり前のような理論を理解していても、実際には目標のための具体的な行動が取れていない、というようなことです。
抽象と具体を結びつけることは想像以上に難しく、それが行動の変容の邪魔をしている。それでは、両者の懸け橋となりなおかつ万人に共通する示唆が与えられれば行動の変容の支援ができるのではないかと僕らは考えました。
そこで着目しているのがパターンという考え方です。もともとは、都市を設計する際に人々の行動にはパターンがあり、それを抽出することで最適な都市をデザインする、という都市工学から生まれてきた考え方です。現在はパターンランゲージとしてプログラミングの世界にもこの考え方が適用されています。
抽象的すぎると自分の話に落とし込めない。
具体的な話をすると万人に共通の処方箋が適用できない。
その両者の中間的な存在としてパターンという考え方が懸け橋になりえると考えているのです。
考え方としては、パターンは具体的な行動をイメージしてもらうことを目的にしています。
計画と実行の壁を限りなく低くする、つまり計画の実効性を高めるためには、できるだけ具体的な行動をイメージしてもらうことが大事です。
「機を見て先輩に働きかけよう」では人は行動できません。
「今週木曜日に○○先輩に会うから、そのときに会ったらすぐに××について話し始め、今回の案件の協力を仰ごう」と、これくらい具体的で初めて行動ができます。
そのきっかけを与えるような推奨行動を提示するのがパターンの考え方です。
今はまだ実証的にチャレンジしている段階ですが、実感としてはパターンはかなり効果があるのではと手応えを感じています。詳しく、いずれ紹介できると思います。
優秀な人は放っておいてもおそらく自分で何とかします。しかし、僕のように意志が弱くてなかなか行動に移せない人が少なからず存在するのではと邪推して、今日も行動変容や成長の支援を考える、そんなRDIの日常です。
]]>先日、東大の中原先生の研究室が主催するAcademic Hack!というアカデミックな議論をするイベントに参加してきました。これまで中原先生といえばLearning Barが有名でしたが、Learning Barはどちらかというと実務家を呼んで各社での施策などを講演してもらうというもの。Academic Hack!は学者にそれこそ論文や学会で発表するようなネタを噛み砕いて講演してもらおうというものです。
僕は常々「事例」よりも「研究結果」を聞きたいと思っているので、もってこいのイベントです。当日は70〜80名くらいの方は会場の東大福武ホールに集まり、講師の方に耳を傾けていました。
バイオ・ラッド・ラボラトリーズ(株)の石山恒貴さんの講演です。
※ここから先、鈴木の解釈が入ります。石山さんご自身の論文はこちらで読むことができます。
石山さんの明らかにしたいクエスチョンは僕なりに解釈すると以下の3点。
その中でも1.の分析が興味深かったので紹介します。
石山さんは、組織内専門人材を分析するために4段階モデルを想定しています。
単純に言えば、
①どのような動機要因を持っている人が
②どのような意識で行動を起こし
③それらの行動を起こしている人は組織にコミットしているのか
④そして組織にコミットしている人に転職意思はあるのか
ということを段階的に分析しようというものです。②にあたる因子を持っている人材が組織内専門人材という仮説のもとの分析です。
段階を踏まずに、例えば①が④に直接的に関係していることもありうるので、作図ではそれぞれ直接矢印をつなげてあります。
さて、その分析結果がこちらです。
この分析から分かったことは主に以下の通りです。
ううむ。スパっと言い切れない結果になるあたりが、社会調査っぽくていいですね。笑
専門領域にコミットしている組織内専門人材は少なからず外部労働市場に対しても市場価値があると思うのですが、どちらかというと組織にコミットし、転職意思は低い傾向にあるようです。ただし、越境(社外)で学習している人は、社外にも目が向いているくらいですから、転職意思が高い傾向にあります。
石山さんはこれらの結果を受け、組織内専門人材は組織コミットメントとプロフェッショナル(専門性)コミットメントの二重コミットメントを有しているのではないか、と結論づけています。
さて、石山さんの研究は(僕のような人間が言うのが恐れ多いのですが)とても意義のある研究だと思います。
これを受けて、実務家である僕はどのような研究に興味があるのか、最後に触れておきます。
結局、組織内専門人材とは「育てる」ことが可能なのでしょうか。
石山さんの研究では、特定の動機要因を持っている人が組織内専門人材である因子を持っていることに正に有意である、ということまでは研究されています。
しかし、これだけでは例えば僕らのような組織を支援する側の人間には直接的には使うことができない結果です。実務で使用するには、例えば以下のような前段階の経験を聞く必要があります。
何らかの経験や機会への接触をしている人材が、①動機を持ち、②意識・行動しているという相関が取れれば、こちら側からの仕掛けとして「経験を持たせたり機会へ接触させたりする施策」を用意することができます。そのためには仮説をもとに施策を打ち出し、効果があったのかを検証する地道なPDCAをまわすことが必要で、この繰り返しこそが質の向上にコミットするということだと僕は考えています。
改善に使えない分析は、実務では「so what」です。
ただ、実務に携わっていると例えば石山さんの4段階モデルのような想定がまったくできないので、このようなアカデミックな場で考え方を吸収し、それを実務に活かすという流れを個人的にも作っていければと考えた一日でした。